このバンドの作詞作曲はミキオが担当していると理恵子は教えてくれた。
何曲か聴いているうちに私の瞳から涙がこぼれていた。
同じだった。
ミキオの歌詞が私の気持ちと同じだった。
ミキオのこと
私、信じられる。
誰も信じられない私だけど、ミキオについていきたい。
休憩に入ったバンドのメンバーが珍しそうに私を見た。
「理恵子の友達?いい色だね、髪」
ボーカルのユウって人は馴れ馴れしく私の髪に触れた。
ミキオは少し離れた場所からこっちを見ていた。
私は、ユウに話しかけられているのに、じっとミキオを見ていた。
「奈美ちゃんも、もしかしてミキオ派?」
ユウは、残念そうにそう言って、理恵子の隣に座った。
「私もミキオ派だよ!」
理恵子がそう言うと、バンドの他のメンバーが笑った。
私は笑わなかった。
ミキオが笑わないから。