電車に乗り、2駅目で降りた。


そこから、細い路地を抜けた先にライブハウスがあった。



私が蹴ったら、壊れそうな建物。



「ぼろいね」


「それがまた良いんだって」




古びたライブハウスの壁を蹴りたくなった。


「蹴っていい?」



私が冗談で言うと、理恵子は慌てて私の体を押さえた。



「だめだめ~!まじで壊れちゃうから」



家で私は時々暴れていた。


理由はよくわからない。


むしゃくしゃするとブレーキがきかない。




うちの家もいつかは壊れるかも知れない。


壊れるのは、家よりも家族か……