目が覚めると、顔の横にスポーツドリンクが置かれていた。
そして、その部屋の前には、スラっとした女性が立っていた。
「どうですか?もう少しで到着ですよ」
なーんだ。
あいつ、もういないんだ。
ちょっと寂しくなったりして。
「よくなりました。次の駅に連絡してもらってるんですか?」
「はい。先ほどの乗務員が連絡しております」
私はずいぶん回復したので、医務室に行く必要はないと言って、断った。
あいつにお礼言いたかった。
テキパキと私を運んでくれて、助けてくれた。
もう会えないのかな。
私は、ベッドに置かれていたスポーツドリンクを飲んだ。
このお金も返さなきゃ。
「さっきの男の人ってどこですか?」
「用事がありまして、別の場所にいます」
そっか。
あいつ、もう戻ってこないんだ。