DESTINY-忘れられない人-




「ありがとうございます。ごめんなさい」



横になっていると少しだけ気分が落ち着いてきた。


ましになってくると恥ずかしさが増す。


私、ノーブラだったじゃん。

この人、気付いてたらどうしよう。



気付いてないか。


真面目!って感じの人だし、一生懸命運んでくれたからそんなこと気付くはずない。



黒ぶち眼鏡に、短い髪。

薄い顔。

色が白い。



「あの…… ここにいて、お仕事大丈夫ですか」



私がそう聞くと、その人は笑顔で言った。



「そんなこと心配しないでください。これも私の仕事です。少し顔色が良くなってきましたね。飲み物持ってきましょうか」




また私は止めた。

その人の腕を掴む。


「いいです。ここにいてください」