スーツ男が手にした刀らしき武器を上に斬り上げる。
男は血を出しながら倒れる。
火螺に傷は一つもついていない。

「殺したのか…?」

月影が聞く。

「殺して何が悪い?殺されても文句が言われないような奴だぞ?」

男がこちらを見る。

「見ない顔だな…。新米か?」
「あんた誰だ?」

火螺が月影の横に付く。

「……」

男が火螺を見たまま動きが止まる。

「な、何よ?」

男がこちらに来る。
…何故かネクタイを直しながら。

「貴女みたいな人がWCCに居るのは勿体ない。是非、我々と共に」
「…は?いやいや、困るし」

横から月影が言う。

その時遠くから走る音が聞こえて来た。

「…残念。今日はここまでみたいです。またお会いしましょう。私の名前は堂園です。では」

あくまでも火螺を見ながら堂園が言う。
堂園はそのまま崖に向かって走り、落ちていった。
二人が崖の下を見ると既に姿は見えなかった。

こうして三人の初任務が終わった。