おれは、刹那が事故を起こした現場の前に来ていた。

それはイコール、高校の頃おれが刹那に告白した桜の木の下だ。

この場所、色んな思い出が重なったもんだ。

改めて、目の前の大きな桜の木を見上げた。

桜の花びらたちが風に吹かれて、目の前をかすめていく。


と、突然誰かに体を押され、おれはよろめいた。


「なーにやってんの?」


かわいい声が聞こえて、顔を向ける。


「・・・・・・・おぅ」


事態を飲み込むまでたっぷり時間をかけたおれは、ようやく声を上げた。






刹那。





長い髪を風になびかせながら、そこに立っていた。