唇を噛んだ。 膝の上で組んだ手は、スカートをぎゅっと握り締めていた。 だけど、二人ともまるで気付かない。 あるいは、気付かない振りをしているだけか。 ……私が、家を出て母の知らないところへ移ろうと決意するまでに、 そんなに時間はかからなかった。 そして、今に至る。