十郎さんは、ばっちりスーツを着込んでいたのだ。 髪も、ジェルかワックスで、きちんと整えていた。 こうしていると、まともな人に見えなくもない。 まあ、堅気の職よりかは、 若干ホストとかにいそうな感じかもしれないけど。 ていうか、あんなに長かったんだ、髪……。 「おかえりなさい、十郎さん!」 つい勢いづいて、大声が出た。 十郎さんは、ミエロの顔を見るなり顔を曇らせたが、 「ああ、いたんですね」と呟くと、 すぐに柔和に微笑んだ。 「ただいま、奈央さん」