「悠斗、さん…?」
「なーんか固いなぁ。悠斗くん!なんだったら、ゆーちゃんでもいいよ?」
ニッコリと笑い、悠斗くんは言う。
"ゆーちゃん"
そう呼べたらいいけど、なんだかおこがましい。
「…悠斗くん、ですか?」
「うん。敬語も止めてほしいな。」
赤信号で車が止まると、悠斗くんはじっとあたしを見て、そう言った。
「え、そんな…」
「俺、真澄ちゃんの友達になりたいんだよね。」
そんなこと言われて、嬉しくないわけない。
「ファンの子と触れ合う機会ってそんなにないけど、ないことはないんだ。会っても、ただ応援してくれる子と話せて嬉しいって思う程度。…でも、真澄ちゃんと会って話して、もっと話したいなって思った。
ファンの子に対してそういう風に思ったこと今までにない。だから、友達になって?」
あたしはその言葉が嬉しくて、視界を滲ませた。
歪む、悠斗くんの綺麗な顔。
あたしはただ、頷いた。


