その声に悠斗は顔が強張った。

「やっぱり!久しぶりね、最近全然会ってないから元気かなって心配してたのよ。」

悠斗を呼んだのは肩まで伸びた黒髪が似合う、40代半ばくらいの綺麗な女の人だった。

「気安く話し掛けないでください。」

その冷たい声にぞくっとした。今まで色んな演技を見てきた。冷酷な人を演じてたときもあった。でも、どんな演技よりもずっと、冷たい声。

「…悠斗くん、」

「名前呼ばないでください。あなたに呼ばれるの不愉快です。」

この人とは一体…どんな関係なの?

「―お母さん、あなたに話があって…」

「あなたは俺の母親じゃない。俺の母親は母さんだけです。」

「そうね…」

お母さん?悠斗のお母さんは、小さい頃に…
まさか、この人継母…?

「じゃ、あいつと仲良くやってください。」

「話を聞いてちょうだい!…お父さんに会ってほしいの。」

「話すことないですから。」

「病気なの!お医者さんに言われたの。もう、長くないそうよ…」