この電車、阿部も乗ってるよね…なんか気まずいな。

今まで通り接することができるかな。

そう思いながらも、辺りに視線を移す。10メートルくらい離れたところに吊り革に手を掛ける阿部を見付けた。
…あたしには気付いてないみたいだ。
このまま話し掛けない方がいいのか、勢いで話し掛けるべきなのか。ずっと考えていると、学校の最寄駅に着いていた。

降りると、隣の扉から出て来た阿部と目が合った。

「おはよ。」

無視するのは気が引けてあたしは笑顔を無理矢理取り繕って挨拶した。

「…おはよ。」

阿部もそう挨拶をした。その顔は、少し歪んでた。