「俺のも、飲む?」

すっと差し出された飲み物。

「アイスコーヒーだけど。」

「…いただきます。」

受け取って、平常心を装っても、手が震えてる。

「、苦っ…」

あまりの苦さに顔が歪む。そんなあたしを見て、悠斗くんは小さく笑った。

「可愛いね、コーヒー苦手?」

「砂糖とミルク入ってたら飲めます!でも、それブラックじゃないですか…」

「やっぱ男はブラックでしょ?」

そう笑ってみせてあたしの両手からコーヒーを取り、喉に流した。
悠斗くんの喉仏が動く…そんなことでもドキドキしちゃう。

「このあと、どれにする?」

「うーんと、」

このままベンチに座ってるだけでもあたしは満たされてる。―なんてこと言えない。

「ここのお化け屋敷面白いらしいよ。ナーナ情報。」

「お化け屋敷ですか…」

「嫌い?」

「いえ、あたし実はお化け屋敷って行ったことなくて…」

お化け屋敷っていうか、幽霊だとかそういうのは昔から苦手で、夏によくテレビでやってるそういう類の番組は極力避けてる。
…夜、眠れないし、トイレ怖くなっちゃうもん。