ダンデライオン

『真澄、あたしのこと…嫌いになった?』

「そんなわけっない、―あたしは阿由葉が大好きだよ。大切な掛け替えのない親友だよ。」

『真澄っ…!』

「阿由葉〜!」

あたしは人目を気にせず、泣いた。わんわんと、まるで小さい子供みたいに。
そんなあたしの頭を優しく撫でてくれる温かい手。
顔を上げるとにっこり微笑む悠斗くん。

『あたし、夏休み明けたら…阿部に告白する。もうケリ着けたいから。そのあと、胸借りていい?』

「うん!好きなだけ泣いていいよ。」

『ありがと。真澄、あたしのこと、許してくれる?』

「許すもなにも…阿由葉はなにも悪いことしてないじゃない。」

きっと、あたしが阿由葉の立場だったら似たようなことする。
今まで通りに、笑顔で話せるか…不安だ。

『真澄、ありがとう。』

「阿由葉も、ありがとう。」

『え?なにそれ。』

クスクス笑う阿由葉の声に自然と顔が綻ぶ。

電話をくれてありがとう。
親友って言ってくれてありがとう。