「じゃ、私も全く問題なし」

どうせ、4曲だし。
それに、私、負けず嫌いなんです。

そんなこと、とっくにお見通しだったのか。ヒコはくすりと笑う。

「俺がMCやるから。
 ついでに、次の曲も言うし。今回、全部の曲に前奏あるから問題ないだろう?」

「じゃあ、お任せします」

いつの間にか、このバンドを仕切るのはヒコになっていた。


「あー、キノサキさんだぁっ」

「そろそろ出番ですか?」

羨ましいほどの黄色い声に、げんなりする。


元々は、毎月恒例でやっていた、うちのサークル内だけのミニライブ会のはずなのに。

最近ではヒコ目当てで(もちろん、他の人目当ての人もたくさんいるけど)、多くの観客が集まるちょっとしたイベントになっていた。

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