「スミマセンっ」

七夕祭、うちのサークルのライブ、入り口のチケットカウンターに居たら、一般の人から声を掛けられた。

「はい?」

「キノサキさん、呼んで貰えませんか?」

可愛い女の子だ。
ところで、キノサキって誰だったかしら。

私は首を捻る。
なにせ、サークルには50名以上の人が居て、全く持って名前が把握できない。

皆、名札でもつければいいのに、ねぇ。

とりあえず曖昧な笑顔を浮かべて、立ち上がる。

ドアを開けて中に入る。
一層、バンドの音が激しくなる。
入り口付近で、腕を組んでステージを見ていたヒコに声を掛けた。

「ねぇ、キノサキって誰?」

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