立ち上がった俺の目の前には、笑顔で手を叩いている男が一人。
こんな闇賭場に来るのに、夜闇でも目立つようなピンクのスーツをチョイスするのは、どういう冗談なんだろうか。

「……紫馬さん」

「折角勝ったんですから、少しは喜んでみたらどうですか?」

にこやかに、紫馬さんが言う。
ああ、この人なら、全財産とられても変わらぬ笑顔を浮かべているんだろうな。

「最近、大雅くんが笑ってくれないって、うちの姫が心配していましたよ」

「……ああ。都さんが?」

だから、わざわざやってきてくれたのか。
なんだかんだ言って、都さんと紫馬さんは仲の良い親子なのだ。

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