「……めんどくさい」

 高校二年生の、二島 桜は呟いた。と言っても私の事だけど。

 授業サボるならやっぱ屋上でしょーと、誰かが言っていた。

 なるほど確かに気持ちいい。

 授業をサボったというのにこの罪悪感の無さ。癖になりそう。

 ……ガチャ。

 ドアが開いた。先生が来たのかと思って血の気がひいたよ……。

「何だ。瀬川か」
 私が言った。

「んだよ……文句でも?」

「………………………………いや。……特に、ない、と。……思う」

「……正直者に傷つけられるって言うのは、こんな感じか」

 瀬川 攻(せがわ こう)。唯一生き残った、八人目の彼氏。

 ケンカして分かれたっていうのに、何で未だに仲が良いんだろ。