神楽幻想奇話〜荒神の巻〜

「何だ?ここの鍵、誰かに渡したのか?」


「いいえ、誰にも渡してないわよ?ねぇ彩音。」


忍と彩音も不思議そうな顔で俺を見た。

気になった彩音が席を立つと、見てくると言って玄関へと向かった…。


そして次の瞬間、廊下で彩音のすすり泣く声が聞こえてきた。


「彩音!?」


忍か慌てて立ち上がった時、ゆっくりとリビングの扉が開いた…。


彩音の頭を撫でながら入って来たそいつを見た瞬間、俺は思わず声をかけていた。


「よぉ、遅かったじゃねーか。何してたんだよ?」


「…ああ、色々あってな…。だけど奴の最後の望みのお陰で帰って来れた。
『コイツは帰してやってくれ。』ってな。」


そう言ったソイツを見た忍は、固まったままスウッと涙を流した。


「…思い出した…。あんた…あんた…。」


そして忍は泣きながらそいつの胸に飛び込んだ。


「わぁぁああ!馬鹿!馬鹿ぁ!」


そんな忍をしっかりと抱きしめたソイツは、笑いながらこう言ったんだ。






「ただいま。」








「神楽幻想奇話」〜終幕〜