「人は時として自らの道を踏み外す。それに気づいて立ち直るのも自らの意志じゃ。
神はそれをただ見守るばかり、手を貸す事は無い。…じゃが、助言やお告げくらいならしてやれなくもない。」


「では…。」


「…了承した。行く末を見守るのも神のつとめじゃ。」


天照が頷き返したのを見て、酒呑童子が何かを決めたように一つ頷いた。


「ったく!坊主らしいっちゃ坊主らしい望みだぜ!」


「らしいって何だよ!いいじゃねーか。」


キッ!っと睨みつけた透の視線に気付かない振りをして酒呑童子は天照を見た。


「さぁ、そなたで最後じゃ酒呑童子。望みを言うが良い。…しかしそなたは生前の悪事によって深い業を背負っておる。冥界送りは確定じゃぞ?」


「ハッ!上等だぜ!閻魔からスカウト来てるんだろ?喜んで行ってやるさ。」


そして酒呑童子は透に向かってニヤリと笑うと、天照に自らの望みを言った。


「あ〜あ、しかし興醒めだ!望みは沢山有ったんだが、こいつがゴチャゴチャ言うから忘れちまった。
…だから一つだけ思い出した望みを言うぜ。それは……。」