「何者だ姿を見せろ」


透が周囲を警戒しながら叫ぶと、前方に見える景色の一部が歪み、そこからゆっくりと二人の人影が現れた。


「いいか人間共、先に言っておく。
質問するな、抵抗するな、拒否するな。
…ダリィからよ。」


そう言ったのは全身からやる気の無さを出している男だった。

パンク系が好きなのか破れたジーンズにギターケースを担いでいて、今からバンドの練習に行くような出で立ちだった。


「君達がスサノオの手下かい?神が相手だと聞いていたが…ずいぶんと普通なんだな?」


幹矢は二人の様子を観察しながら彼に告げた。


その様子を黙って見ていたのはチャイナドレスの女…。

彼女からは血生臭い殺気がひしひしと伝わってきた。


「普通でも誰でも良いから早く出しな。戦うだけ無駄だし、神器もらえば帰るからよ。」


あくまで男は面倒くさがったまま透達に向かってそう言った。