先にも言ったが、茉莉花との関係に、不満と言える不満は別にない。

しかし、不満がないことが、何か退屈なことに今は感ぜられた。


取引先を回り、泊まり先のビジネスホテルに到着したのは、夜9時のことだった。


反って出張時のほうが早く休めたりする。

簡単にシャワーを浴び、買ってきた缶ビールを空け、一息ついていると、携帯が鳴った。


「もしもし。」

「お疲れ様。仕事終わった?」


茉莉花だ。