その後、加藤と茉莉花ははじめ話していた水族館より近場の水族館へ行った。

加藤ははじめ話していた場所の方がデートのイメージが強い施設のため、好きな人と行きたかったのだと言った。


深く青い水槽、色とりどりの海の生き物や、珍しい生態に心が躍った。


色々なことを忘れられた。


「篠原さん、これ見て。」


加藤はあまり派手さのない魚を指した。


「深海魚なんだけど、彼らは目が退化して殆ど見えないんだって。

面白くない?
自分で発光して暗い海底を生きる深海魚もいるだろ、それぞれの意見が長い時間を経て形になっていくって。」


「面白いね。
この子達にとっては退化は進化なのね。」


加藤は茉莉花の横顔を見つめた。

青い光に照らされた茉莉花は、とても魅力的だった。