加藤は振り返り、なんだかほっとしたような表情を見せた。


「篠原さん。」

「加藤君、昨日送ってくれたの?
ごめんね、遠回りさせちゃって…。」


話ながら、ふと妙な気がした。

茉莉花にとっては遅い時間だが、加藤にとっては帰りが早過ぎる。


「いいや。大分酔ってたみたいだけど、大丈夫だった?」

「うん、なんか悪酔いしちゃって…本当にごめんね。
…なんか今日早上がりだね?」


加藤の顔色が曇った。


なんか聞いちゃいけなかったのかな。

茉莉花が口を開こうとすると、加藤が遮った。


「…実は、仕事で悩んでることがあるんだ。」