7年目の浮気

加藤の家はかなり近かった。

思ったより散らかっていたけど、一人暮らしの男の家らしい。

寧ろ芳雄はかなりきれいにしているほうなんだろう。


「ごめん、散らかってて。
今お湯沸かすから。」

「いいよ、かまわなくって、」

「そこ、座ってね。」


キッチンへ向かった加藤は、ガシャガシャンと大きな音を立てた。


「大丈夫?」


茉莉花が近づくと、洗い物が溜まっていた。


「あ、あの…、汚くて。」


加藤は恥ずかしそうにした。


茉莉花は加藤の新しい一面を見て、可愛らしく思った。


「わたし、洗うよ!
加藤くん、スーツ着替えておいでよ。」

「え、え?そんな、悪いよ。」

「いつものお礼に、これくらいさせて。ね?」


茉莉花が割って入ると加藤は、じゃあお願いします、と言って着替えに行った。


加藤は仕事も遅いし、溜まっちゃうんだろうな…。洗いはじめながら思った。


芳雄は女の茉莉花から見てもいつもきれいにしてて、学生の時から掃除をしたりしたことはなかった。


溜まってるとは言っても数は少ない洗い物はすぐに終わった。


「篠原さん、有難う。
よかったらお風呂入る?
俺ので良かったら着替えもあるし。」


もうここまできたらとことん甘えることにした。


「うん、そうさせてもらう。有難う。」

「バスタオル、置いとくね。」