7年目の浮気

心臓がはねた。


「!…、ちょっとごめんなさいっ。」


茉莉花は立ち上がって席を離れると、通話ボタンを押した。


「もしもし茉莉花?
後輩のライブあるだけど、今から出てこれない?てゆうか出先?」

「う、うん、出先だけど大丈夫だよ…。」

「今街にいるんだけど、いつ頃来れる?」

「…じゃあ、30分くらいで…。着いたら連絡するよ。」


わかった、待ってると言って芳雄は電話を切った。

茉莉花はバクバクいう心臓を何とか落ち着かせながら、加藤の元へ戻った。


「か、加藤くん、」

「電話、彼氏?」

「うん、だからもう、行くね…、今日は有難う。」

「行かないでって言いたいけど、無理だよね。
わかったよ。」

「本当に有難う、じゃあ。」


茉莉花は急いでカフェを出た。


加藤はそんな茉莉花の後姿をただ見送った。