「・・・まいったな。」


芳雄は頭をかいた。



あれから急な出張で1週間も空けてしまった。
久しぶりの休日に、予約していたスマホをまず手に入れたものの、茉莉花に連絡を取れずに時間が過ぎてしまった。

信号待ちをしながら、新品のスマホを見つめる。


「・・・今さら何もなかったかのように電話やメールするのもなぁ・・・。」


その時、メールの着信があった。

バンドをやっている後輩からだった。




今日の夜ライブをやるから来ないかという連絡だった。


「タイミングいいじゃねぇか。」


芳雄は茉莉花に電話をかけた。

ライブを口実に誘って、どさくさに紛れて言い過ぎたことを謝ろう。


しかし、携帯はつながらなかった。


あれ・・・。


掛け直してみたが、同じだった。


まだライブまで時間がある。


芳雄はとりあえず街をぶらつくことにした。