3時限目の英語の授業は自習だった。

陣野先生の体調がすぐれないという理由に、女の子たちは心配げに声を上げる。

「え~!?陣野先生大丈夫かな!?美香、お見舞いいっちゃいなよ!!」

さすがに美形なだけに女子に人気の陣野先生。

……まだ体調悪いんだ。

苦しげに肩で息をしていた先生を思い出し、心配になる。

ただの貧血とはどうしても思えなくて、先生のことが気になった。

どうしてこんなに気になるんだろう。

先生がヴァンパイアだとしても、やっぱり今朝の先生は温かかったから。

休み時間に職員室を覗くと、先生の姿はなくて、担任から今日は陣野先生はもう帰ったという話を聞いた。

先生の体調のこと、昨日の恐ろしかった先生のこと、自分が「イヴ」かもしれないってこと。

全部で頭がぐちゃぐちゃだった。

わたしは放課後、いつの間にか保健室の前に立っていた。

少なくとも先生の体調のことは江島先生に訊けばわかるかも。

そう思い、保健室のドアをノックしようとしたわたしの耳に、意外にも、当の本人である陣野先生の声が聴こえてきた。

「江島先生…ヴァンパイアを愛せますか?」

「……ヴァンパイアでも愛してます。………陣野先生」



…………先生――――――――!!!