開け放たれた扉から降りてくる月の光に照らされながら、キスを交わす二人を見て、わたしは幸福感に満たされた。
二人の幸せは今だけなのかもしれない。
でも、この幸福が訪れた瞬間を、わたしは確かに目撃した。
静流さんの捲れあがった袖の下から見えた左腕には、
――――――――もう、『イヴの欠片』はなかった。
二人の幸せは今だけなのかもしれない。
でも、この幸福が訪れた瞬間を、わたしは確かに目撃した。
静流さんの捲れあがった袖の下から見えた左腕には、
――――――――もう、『イヴの欠片』はなかった。


