翌朝、起きてすぐに昨日陣野先生が殺したヴァンパイアのことがニュースになっていないかテレビやネットを観たけれど、なんの騒ぎにもなっていなかった。

……まだ発見されていないのかもしれない。

昨日のことなのにまだ悪い夢を見ているようで、わたしには現実感はなかったけど。

行くべきじゃないのかもしれない。

朝一でまだ誰も来ないだろう体育倉庫の様子を確認しようかと迷いだした。

でももし昨日のままだったら?

殺されているヴァンパイアが横たわる体育倉庫を用もないのに朝早くから訪れるなんて、何を疑われても仕方がない状況だ。

だけど、気になって他にどうしようもない。

「雪音、お姉ちゃん今日はちょっと早く行くから、パパに学校まで送ってもらうのよ!」

12歳にしては背も小学校中学年並みの小柄で童顔な雪音が、朝食のパンを頬張りながら振り向いた。

「…うん。行って……らっしゃい」

少し不思議そうな顔でふわふわの髪を揺らし、首を縦に振る雪音を残し、わたしは家を出た。

昨日の雨の匂いが少し残る今朝の空は、青いレースがかかったみたいにキラキラだった。