熱は病院からもらっていた解熱剤で37度くらいまで下がっていた。
まだ少し体がだるいけど、なるべく暖かい服装に着替えて家を出た。
雪音がもうすぐ帰ってくる頃だったから、『病院へ行ってくるけど、心配しないでね』と置手紙を残してきた。
バスに乗って病院まで行く。
今日は昨日のような雨降りではないけど、朝からずっと曇り空だ。
バス亭に降りて病院を目指そうとしたその時、「入江さん」と呼ぶ声が後ろから聴こえた。
振り返った瞬間、みぞおちに鈍い痛みが走った。
「!?」
………な…に……?
「一緒に来ていただきますよ、入江神音さん」
みぞおちから拳を抜き、わたしの体を支える男性の力強い腕。
見上げたそこには、園田先生の氷のような眼差しがあった。
………吸血鬼特有の、冷気を帯びた瞳。
「…園田…せんせい?」
「…いけませんねぇ。熱があるのに外出しちゃあ」
嬉しそうに瞳を細めて笑う園田先生の顔が次第にぼんやりと薄れていった。
ずるずると車の中へ引っ張りこまれたのを最後に、わたしは意識を失った。
まだ少し体がだるいけど、なるべく暖かい服装に着替えて家を出た。
雪音がもうすぐ帰ってくる頃だったから、『病院へ行ってくるけど、心配しないでね』と置手紙を残してきた。
バスに乗って病院まで行く。
今日は昨日のような雨降りではないけど、朝からずっと曇り空だ。
バス亭に降りて病院を目指そうとしたその時、「入江さん」と呼ぶ声が後ろから聴こえた。
振り返った瞬間、みぞおちに鈍い痛みが走った。
「!?」
………な…に……?
「一緒に来ていただきますよ、入江神音さん」
みぞおちから拳を抜き、わたしの体を支える男性の力強い腕。
見上げたそこには、園田先生の氷のような眼差しがあった。
………吸血鬼特有の、冷気を帯びた瞳。
「…園田…せんせい?」
「…いけませんねぇ。熱があるのに外出しちゃあ」
嬉しそうに瞳を細めて笑う園田先生の顔が次第にぼんやりと薄れていった。
ずるずると車の中へ引っ張りこまれたのを最後に、わたしは意識を失った。