「わたしが……イヴと瓜二つ…」

なんだか信じられないことが多すぎて、わたしはカウンターの上で頭を抱え込んだ。

「ごめん。一度にいろんなことが有り過ぎたよな」

穂高はポンポンとわたしの頭を優しく叩くと、レイに目配せした。

レイはカウンターの中でバーテンダーのようにシェイカーをシェイクし始める。

わたしはその動きのしなやかさと色っぽさに、目を奪われた。

「はい、神音ちゃん。特別に神音ちゃんのために作った『レイ・スペシャル』。召し上がれ」

トンとわたしの前に置かれたカクテルグラス。

綺麗な赤色で、底にはチェリーが沈んでいた。

「あ、あの!わたしまだお酒は…」

レイは全く意に介さずな笑顔でわたしの前に頬杖をついた。

「だいじょーぶ!アルコールは少量しか入ってないんだ。その代わり、神音ちゃんが元気になるようなものが入ってる。ま、飲んでみてよ」

穂高を見ると、彼も温かくわたしを見守るような笑顔でわたしを見つめている。

…ええい、もう知らないから!

勢いよくカクテルを口から流し込む。

喉を通るその味は、ほのかにチェリーの味と、妙に体に染み込むような甘い蜜のような味。

「これ…おいしい」

「でしょ?神音ちゃんのために作ったんだから」

そのおいしさに、もう一度グラスに口をつけた瞬間。

「神音ちゃん、穂高の血を一番に飲んであげてよ」

レイの唐突な言葉に、カクテルを噴き出しそうになって咳き込んだ。

「な…なに?突然…!」