教室にぞろぞろと人が入ってくる。


予鈴が鳴ると、みんながやがやと席につきはじめた。

もちろん私の隣にも人が座ったけれど、私は目を合わせない。


『矢澤』君は明らかに"お隣さん"である私の方を見ているけれど、私は怖くてその視線に気付かないふりをした。


(……どうか話し掛けてきませんように)


いつかは話さなければならなくなるとしても、それは出来る限り遠い未来であって欲しかった。