「堀川」 呼ばれて目線を上げた。 声の主は真陽の後方に立っていた。 「……?」 このクラスで、数少ない以前からの知り合い。 同じ小学校だった男子だ。 中学に入ってからはクラスも離れていたので、久振りに言葉を交わした。 「何で泣いてるの?」 涙は既に止まっていたけれど。 「思い出し……泣き?」 だと思う。たぶん。 「何それ」 その彼、三上純くんはそう言って微笑むと、男子の輪の中に入っていった。