「意外とやるな」 後ろから声がした。 振り返って見上げると、私が寄りかかる校舎の窓から矢澤君が顔を出していた。 「もっと気が弱いのかと思ったんだけどな」 「や、矢澤君」 困惑した様子の女子たち。 矢澤君はそんな彼女たちに止めの言葉を掛ける。 「俺は、君らみたいな女嫌いだわ」 「ゆな、おいで」 「え」 矢澤君は両手を私に向かって伸ばしていた。