予鈴ぎりぎりに教室に戻ると、真陽が駆け寄ってきた。 「水雫!大丈夫?」 「え」 「矢澤が手引っ張って行ったって皆が話しててさ。それなのに矢澤だけ戻ってくるし。何かあったのかと思って」 その時真陽は私の顔を見て何かに気付いたような顔をして、窓際に向かって行った。 そして矢澤君の席の前で止まった。 「あんた水雫に何したの」 「何も」 目も合わせずに答えた。 「水雫目赤いじゃん!あんた泣かせたんでしょ!!」 真陽が矢澤君の机を叩き、大きな音が教室に響く。