知っている人が多ければまだいいけれど、生徒数の多いこの中学では三年間通して知らない人も沢山出てくる。
そしてこの自己紹介はまさに知らない人のオンパレードだった。
気付けば真陽まで自己紹介の順番が回っていた。
「橋田真陽、真実の真に太陽の陽でまなかです。去年は五組でした。よろしくお願いします」
シンプルだけれど、明るくハキハキしているのでやはり好感が持てる。
(私も名前のこと言おうかな……)
私も名前についてはよく聞かれるのだ。
名前について話そうと決めると、今度は酷く緊張してきた。
待つ時間がながければ長いほど、緊張してしまう。
落ちつけ、落ちつけ、と言い聞かせていると、隣で
ガタンッ
と荒々しい音がした。
隣の矢澤君が自己紹介のために立ち上がったとき、椅子が倒れたのだ。
驚いてビクッとした私は、立った矢澤君を見上げた。



