「ごめん。私、行くね」 飛び出した廊下で、誰かとぶつかった。 「ごめんなさい」 「廊下は走らないように」 あ、 「凱・・・」 「今から行くのか?」 「うん」 「・・・・今日クラブ出れそう?」 「う~ん・・・ちょっとわかんない」 今日は、退院診察。 いわゆる、最後の診察が、下る日、なんだ。 「・・・そっか」 「ごめんね・・・」 凱はふっ、と笑って私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。 「気にすんな」 って。 ごめんね。 もう少しだけ、 もう少しだけ、その優しさに甘えててもいいかな。