「前に、壮介が言ってたの覚えてる?綾さんの話し、私にしてくれたでしょ」



「あぁ、うん覚えてるょ」




綾に子供がいるって分かって、それまで考えてたことを全てなくした



綾と二人で逃げるって覚悟を決めた俺に"子供"という存在はでかかった



壁なんてなくて


素直に笑い合える芽衣とこれからを過ごしたい



綾がダメだったからとかじゃなく




芽衣を自ら愛し始めていた



曖昧なスタートを切ってしまった芽衣との交際を始めからやり直したかった







まだはっきり覚えてるよ




真剣に聞いてくれた芽衣の表情



嬉し泣きの赤くなった顔



あの日が俺らのスタート地点




そんな大事な日のことを忘れるわけねぇじゃん




なんで今になってそんな話しを持ってくるんだ…?






「綾さんのことがずっと好きだったんだよね?だから結婚した綾さんを忘れるために必死になって私を愛そうとした。時折、綾さんからのSOSに心揺れながらも、意地になって私だけを見るようにしていた…」


「意地ってなんだよ‥。俺は素直に芽衣が好きだって言ったじゃん。綾は今あっちで上手くやってんだろうからさ、それをどうこお俺らが今話したって無駄じゃん?俺だって今が一番幸せって思えるし」




芽衣は一体何を話そうとしているのか



わざわざ前の話しの再確認のために今日会ったんじゃねぇよな…?




芽衣は綾に会って何があったんだ?



何を聞いた?


何を知った…?




「今から言うことを聞いてもまだ無駄って言えるの?」




………‥?





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