多分気を失ったのは凄く短い間だった。

目を開けるとそこには心配そうな水無瀬さんのお美しい顔があった

「藤咲さん、大丈夫ですか!?」

状況はあれ、よく少女マンガとかでみるやつ。

そう、私は水無瀬さんの逞しい腕に抱きかかえられていた。

でもときめく間もなく気持ち悪さがこみ上げてくる。

「藤咲さん!!」

「う゛っ」

「…っ!!すみません、失礼します。部屋入って大丈夫ですか?」

ぐっと水無瀬さんの腕に力が入ったかと思うと浮遊感を感じ、視界が高くなる。

やっとの事で首を縦にフルと水無瀬さんは靴を脱ぎ、玄関を登った。

部屋に入り、私をベッドにおろすと失礼しますとまた呟いて私の額に手を伸ばした。

ヒンヤリ冷たくて、大きな手の感触のは今でも覚えてる。