SS『このみのヤキモチ』

「ねぇ…」

このみと付き合いはじめて1ヶ月。

彼女は先週初めて2人で出かけた時から様子がおかしかった。そして今日、思いつめた表情で俺の隣にちょこんと座っている。

別れ話?いやまさか…内心あせりつつ、年上の余裕を見せるため優しく微笑んだ。

「どうした?」

「…っ」

根気よくまつがなかなか可愛い口から言葉が出てくることはない。

まだ1ヶ月なのにもう別れ話か!?先週キスしたのがまずかったのか!?キスで我慢した俺を誉めてはくれないのか!?いや…ゴホン。

とりあえず、本気で冷や汗が出てきた。

「このみ?」

と尋ねるとこのみは意を決したように顔を上げた。

で、

「か、海はっ、やっぱりももももモテるよね!?」

ん?


「…だってこないだ街歩いたらみんな海の事振り返って見るし、よくよく考えたら海が宅配してて惚れた人なんか私だけじゃないだろうし…しぃそれに…」


オレはにやけそうになる顔を引き締め、語尾が小さくなったこのみに優しく続きを促した。

ちらっと上目使いでこっちをみる。

可愛い。


「それに…あの…ききききき…いや、えと、ち、ちゅうが上手い人は遊んでるって…美奈子がぁ」


「美奈子ちゃん…」


真っ赤になるこのみとがっくり肩を落とす俺。


てかちゅうってさぁ…


「ふぅーん、じゃぁこのみは俺のキスが上手だって、思ってくれたんだ。」


「なっいやちが、いやちがくな、えっ…あぅ~」


涙目になっちゃって。どこまで俺を惚れさせたいんだか…


我慢してたのに。また…キス、したくなっちゃうだろ。

END