「…っ」
言いたい事はいっぱいあった。
会えたら何を言おうとかいっぱい考えてた。
でもなんにも…挨拶の一言さえ出てこなかった。
先にアクションを起こしたのは、水無瀬さんだった。
少し視線をずらしたかと思うと、とても怒ったような顔でこちらに近づいてきた。
そんなに会いたくなかったんだろうか…
キツく目をつむる。
シトラスの香りが私の横を通り過ぎた。
「君、藤咲さんがいるのに…ほかの女と何してるんですか?」
聞こえた水無瀬さんの怒りに満ちた声に驚いて振り向くと、水無瀬さんは美奈子といちゃつく透の腕を掴み睨みつけていた。
「あっ水無瀬さんだ」
「えぇっこれがあの!?」
やだ嬉しいとかかなり場違いな声をだしたバカップルに眉間のしわを深くする水無瀬さん。
「あのっ!!透は私の彼氏じゃないです!!!!!!」