水無瀬さん!?私はビックリして慌ててマスカラを拭う。透も驚いたらしく声を上げる。
「え!?」
「すみません少し早く来てしまったんですが…」
「あぁ…このみ!!」
透の呼ぶ声にまだちょっとマスカラ着いてたけど諦めて玄関に向かった。
「藤咲さん…」
「あっすみませんハンコを」
そういってハンコを差し出すと少し元気がない様子の水無瀬さん。
「…はい。ではここに」
なんでだろ…やっぱり似合ってないのかなぁ。
透は無言で壁に寄りかかり腕をくんでこっちを見てるし。
「はい。ありがとうございます。では」
いつもここで少し話をするのに水無瀬さんは私の顔を見ようとせずチラッと透に目て背を向けた。
やだ…もう行っちゃうの?
「あっ水無瀬さ…」
「かっこいい彼氏ですね…では」
パタン
最後にドアの隙間から見えた水無瀬さんはすごく悲しそうな顔をしていた。

