「なんであたしなのよぉ!!ありえないっ」
「言い出しっぺは負けるんだよ」
「はい鍵かすから」
ほっぺを大きく膨らませた美奈子は無言で透から車の鍵をうけとった。
「ソッコー帰ってくるからね」
「「はいはい。行ってらっしゃーい」」
不機嫌そうな美奈子。お姫様な美奈子だけどちゃんと決まり事は自分でする。えらいなぁって思うんだ。
「あっこのみ」
「ん~何?」
「マスカラ、目の下ついてる。ほらここ」
透が鏡を寄せてくれた。覗くと半乾きだったマスカラが目尻についていた。
「どーしょー」
「慌てないで、綿棒濡らして優しく拭って」
「はぁい」
男子にメイク指導されるってどうよとか思いながら綿棒と鏡をもってキッチンに向かって言われた通りにした。
ピンポーン
「あれ?美奈子忘れ物かなぁ」
「俺でるよ」
透が玄関に向かった。
ガチャ「はい」
「…!?お届け物です」

