√番外編作品集

「俺は古文好きだよ。情緒があって、自然観に溢れてるし」

「ほりぐっちは教育学部だもんね」

「それは関係ないけど。試験対策してやろうか」

「k大生に教わるのかー授業料高そっ」

当然ながら、微妙なぎくしゃく感がどうも抜けない。

でも俊彦は心地よいと思えたし、敦子が告白をスルーせずに考えてくれていることが分かったので嬉しかった。

正直、答えを聞けないままになるのではないかと不安に思ったりもしたのだ。

今の関係がいいから、とはっきりした言葉もなく、なかったことにされるのが一番辛い。

「飯島は進学しないって聞いたけど──」

「飯島じゃん、何やってんのお前」

俊彦が話を膨らませようとしたところで横から声がかかった。

俊彦は知らないが、敦子にはよく知った顔だった。

クラスメイトの藤田刹那だった。

敦子は彼が苦手だった。

いや、嫌いという方が正しい。

2年に進級したあたりまで、数ヶ月付き合っていた仲だったのだが

別れてこじれて、何かと因縁をつけてくるようになった。

潤とも揉めたことがあり正直目の上のタンコブで、きちんと精算できなかった恋愛遍歴の汚点でもある。

「絡んでこないでよ、もぉ……」

敦子が小さく呟いたのが俊彦に聞こえたのか、彼は一歩前に出ると後ろ手で敦子を後ろへ押し込んだ。

「その制服、立幸館じゃね? あ、緑のネクタイだから先輩か。どもー」