√番外編作品集

授業が終わり掃除もそこそこに裏門へ向かう。

待っていた堀口が手渡してきたのは

スイート・シーズンズ

康平も持っていた、恋愛映画のチケットだった。

「ベタすぎてごめん。でも俺コレみたいんだよな。男1人で恋愛映画見るのもアレでさ」

「なんか河田君もこれ持ってたよ」

「妹からもらったんだよ。さすがに俺も妹と2人でこれ行きたくないし」

「そうだよね、それは分かるわ」

「飯島がこういうの気にとめるんだったら無理強いしないけど……あ、別に映画見たから付き合えとかそういうんじゃないぞ」

「優しいなぁ、ぐっちって」

映画ならいっか。

ちゃんと堀口さんのこと知りたいし。話もしなきゃいけないし。

敦子は一度だけ頷いてチケットを受け取った。

「映画なら、友達とだって見るじゃん」

「じゃあ、友達から付き合える相手か見定めてもらうために気合いいれてく」

「ちょっとそれ、心の声にしないとダメじゃないですか」

敦子が笑うと、堀口も笑った。

「そういえば今日、古文の江古田って先生にメッチャ怒られて、泣きそうだったんですよ」

「古文? 苦手なのか飯島」

「古文だけじゃないけど……使わないじゃないですか。だから頭にも入らないし」

敦子は堀口と裏門を出て、西高生があまり通らない小道を使って二条駅へ向かい歩き出した。

夕暮れに向けて空は暁に染まりはじめ、寒さも色がついたように2人の頬を冷やす。