「ばぁーか、ザマミロ」
康平は廊下を浮き足で歩いて自分のクラス内の席へ戻った。
ヒアリングどころか、康平と潤のクラスは自習だった。
前の席に座っていた潤は、振り向きもせずに後ろ手で縦に折った千円札を康平へと差し出す。
人差し指と中指の間からそれをひょいと引き抜くと、河田康平はニヤニヤと笑った。
「どーも、まいどおおきに」
康平が戻ってきたのを見てか、山岡千恵がかけよって来る。
康平はニコ、と笑って冗談めかして答えた。
「さっきの江古田先生の怒りの対象、敦子だよね。大丈夫かな……河田君、どこ行ってたの?D組見てきたの?」
「王子様の命令でお姫様を助けに」
「え?」
「っていうかコダちん、うるさいよなーあいつ。怒鳴る先生が一番うぜぇよ。そう山岡ちゃん、ここってテスト出ると思う?」
康平はさり気なく話題を逸らしながら、山岡千恵に教科書の演習の解説を求めた。
前の席に座っていた黒沢潤は、康平の話も千恵の話も耳に入れず、黙々と3学期の問題演習を続けていた。
敦子は窮地を救われた礼を河田にしようと休み時間すぐに席を立ったが、ポケットの中に入れていたケータイが短くバイブする。
こっそりとケータイを覗くと堀口からのメールだった。
「飯島って映画すき?」
そんなタイトルに、本文は映画のお誘いをしたいので、今日ちょっと話ができないか──というものだった。
返事に迷っていると休み時間は終わってしまった。
だが、告白されてから一度も連絡を取っていない。
返事ももちろんしていない。
会って改めて話をした方がいいかもしれない。
敦子は校門まで来るという俊彦に「裏門のほうで!」とメールして次の授業へ意識を戻した。
康平は廊下を浮き足で歩いて自分のクラス内の席へ戻った。
ヒアリングどころか、康平と潤のクラスは自習だった。
前の席に座っていた潤は、振り向きもせずに後ろ手で縦に折った千円札を康平へと差し出す。
人差し指と中指の間からそれをひょいと引き抜くと、河田康平はニヤニヤと笑った。
「どーも、まいどおおきに」
康平が戻ってきたのを見てか、山岡千恵がかけよって来る。
康平はニコ、と笑って冗談めかして答えた。
「さっきの江古田先生の怒りの対象、敦子だよね。大丈夫かな……河田君、どこ行ってたの?D組見てきたの?」
「王子様の命令でお姫様を助けに」
「え?」
「っていうかコダちん、うるさいよなーあいつ。怒鳴る先生が一番うぜぇよ。そう山岡ちゃん、ここってテスト出ると思う?」
康平はさり気なく話題を逸らしながら、山岡千恵に教科書の演習の解説を求めた。
前の席に座っていた黒沢潤は、康平の話も千恵の話も耳に入れず、黙々と3学期の問題演習を続けていた。
敦子は窮地を救われた礼を河田にしようと休み時間すぐに席を立ったが、ポケットの中に入れていたケータイが短くバイブする。
こっそりとケータイを覗くと堀口からのメールだった。
「飯島って映画すき?」
そんなタイトルに、本文は映画のお誘いをしたいので、今日ちょっと話ができないか──というものだった。
返事に迷っていると休み時間は終わってしまった。
だが、告白されてから一度も連絡を取っていない。
返事ももちろんしていない。
会って改めて話をした方がいいかもしれない。
敦子は校門まで来るという俊彦に「裏門のほうで!」とメールして次の授業へ意識を戻した。


