√番外編作品集

「お前も文系だったらなぁ、試験で一番稼げる国語もっと大切にしろ!」

出席簿が教壇と交わってバシンと音を立てる。

その音にクラス中が痙攣した。

「ヤバイわー朝からブチギレだ、コダちん」

ささやき声が後ろの席から聞こえる。

「来年の2年の特進Aの国語担当になれなかったからキレてんじゃない?」

こそこそとささやきが交わされると、教師はそこ!と指して話をした生徒へ次の問題の解答を求めた。

「も、もう座っていいかな」

敦子は後ろの席の友人に問いながら、こっそりと身をかがめようとしたが教師はそれを視線で縫い止めた。

「飯島は次の問題の解答させるから、待つように」

え、マジきついんだけど。このまま立ってろって?

敦子が表情を曇らせてがっくりすると同時に、予想もしない場所から声がかかった。

「コダちん! ウチのクラスまで怒鳴り声聞こえちゃうんで、マジ勘弁!」

開きっぱなしの後ろのドアから康平の顔が出た。

「おい、おま……河田!……何やってる授業中だろうが!」

「だからうるさいって。ウチこれからヒアリングなんで、よろしくお願いしまーす」

康平の言葉に、クラス中が忍び笑いをした。

はっきりと「うるさい」と言った康平の言葉が、おかしかったし勇気ある言葉だと讃えたのだろう。

康平はぱっと廊下に消えて、微妙にしらけた空気に襲われたクラスは、仕切り直しとばかりに静寂に包まれた。

「……着席しろ」

教師の一声に飯島敦子はゆっくりと着席して、冷や汗を拭いた。

正直、最近よく寝れずにいてフラフラだった。