√番外編作品集

ぎくしゃくした関係だったり、諦められない未練だったり、自己嫌悪だったり、苦しみだったり。

「何もしなくて平気? とか言うなら俺と映画館デートしてよぉー」

「そういう心にもないこと言うからフられるんだよ。チャラついた振りして自分ごまかして癒されようとするの無意味だよ」

俊彦もそうなのだろうか?

いや……彼はそういう性格ではないのは、敦子も分かって居るつもりだ。

「敦ちゃんダイレクトアタックしないでよ。少しくらいノッてくれたっていいじゃん。冗談だって分かってるんだったらさぁ」

康平が拗ねてみせるが、敦子は無視して駅から家へ戻るために歩き出した。

「っていうか。私を誘ってみてるけど本当はどうやって千恵連れ出そうか悩んで相談しに電話したんでしょ」

「さっすが敦ちゃん! だって山岡ちゃんアクション映画好きとか言うんだよ。これ誘いにくいでしょー」

「自腹切ってスイート・シーズン以外の映画行けばいいじゃん」

「それってめちゃ俺が山岡ちゃん狙って諦めてないみたいじゃんか。タダ券あるから行こうよ!くらいのライトな感じがお友達路線でいいんじゃないの?」

「実際未練タラタラなんだからいいじゃん。さては河田君、スイート・シーズンで泣いた千恵を慰める自分とか想像して酔ってるじゃないの?」

「でへへ」

「アホか!」

ケータイを持つ手がやけに冷える。

敦子は康平に短く怒鳴ってから片手に息を吐いて温め

持ち手を変えて通話を続けた。

「とりあえず先に先手打っておくけど、"敦子を誘ったけど断られてあてがないから、山岡ちゃん一緒に行ってお願い!"とか泣きつくのは辞めてよ。河田君だからってそういうの断りにくいし」

「うっ 康平に45のダメーージ。何? 俺だからって……」

あれこれと説教を続けて、やっと通話を終わらせると敦子はやっと混乱していた気持ちを整理できた。

ある意味康平からの電話は都合がよかったのかもしれない。