√番外編作品集

展開突然すぎるよ? と敦子が問いただすが俊彦は至って冷静だった。

「好きだから、伝えようと思った。以上」

吸った息を吐きだせずに無呼吸状態の敦子に俊彦が「息したほうがいいぞ」とトントンと敦子の肩をつついた。

「え、えー、ええええ」

「あんまり叫ばないでくれ、一応これでも意を決しているわけだから」

周囲の視線もあって恥ずかしいと俊彦が少し視線を泳がせると敦子はぱっと口に手を当てた。

「……それでさ、話続けていいですかね、飯島さん」

敦子からの返事はないが、聞こえている前提で俊彦は続けた。

「もしよければ、付き合って欲しいんだよ」

そこまで言ったところで敦子がぱっと顔を上げた。

「どうして私? き、聞いていい? 私は潤が好きだってぐっちに相談なんかも、しちゃってたよ。報われないから可哀想とか、そういうんだったら違うよ」

「──正直な話はじめは遠慮こそしたけど、けど黒沢は関係ない」

ぎゅっと握られた片手は、話を最後まで聞かないと逃がさないという意味なのか、それとも別の意味があるのか敦子には分からなかったが

楽器ダコのある俊彦の手は、潤や他の男友達とは違ってとても熱い。

真剣な思いなのだと伝わってくる。

「飯島の気持ち、理解できたよ。相手が自分を見てなくても──好きなもんは好きだ。ちゃんと伝えて──それでさ」

俊彦はそこまできて口を閉じた。

用意していた言葉を崩し、形を変えようとしていた。

「それで──両思いになりたいよな。よく分かるよ」