電話をしながらコートをはおり、財布と定期が入った鞄を片手に家を出す。
雪が降りそうだったが、傘を手にするのを忘れて駅に向かうと、西口ではなく東口に俊彦の姿があった。
立幸館高校の山吹色のチェックの制服は目立つので見つけやすい。
「ぐっちー! おまたせーおめでとうー!」
「早いな」
「だって電話しながら来たもん。寒いし待たせちゃ悪いしね」
敦子はいつものように大きな目を輝かせて笑ってみせると「今から潤呼ぶね」と通話を終了させたばかりのケータイのメニューボタンを押した。
だがその手を、急に俊彦が押さえたので驚いて顔を上げると
向こうもとっさの行動だったのか慌ててみせる。
「あ、いや──いいよ、お前だけで」
俊彦の意図するところが分からず、敦子はケータイを手にしたままきょとんとしてしまった。
「じゃあ、サイゼ──ジョナサンの方がいい?──でも行こうか」
「飯島、合格したら言おうって二条西の文化祭の時に決めてた」
「え? 何を?」
「飯島が好きだ」
敦子が予想もしない言葉を俊彦が紡いだものだから
寒さで張っていた頬にヒビでも入るような感覚に襲われた。
手にはケータイがあって、周りには人がいて、円茉莉駅のアナウンスが続いている。
時間が止まってしまった敦子の手を、俊彦は遠慮がちに──だが触れて拒絶がなかったのでぎゅっと掴んだ。
ケータイの硬い感触が手のひらにぎゅっと押しつけられてやっと敦子は現実に帰ってこれた。
「たとえ飯島が黒沢のことを好きでも、俺は君が好きだ」
「ちょ、ちょっと待った。突然何のドッキリ?」
雪が降りそうだったが、傘を手にするのを忘れて駅に向かうと、西口ではなく東口に俊彦の姿があった。
立幸館高校の山吹色のチェックの制服は目立つので見つけやすい。
「ぐっちー! おまたせーおめでとうー!」
「早いな」
「だって電話しながら来たもん。寒いし待たせちゃ悪いしね」
敦子はいつものように大きな目を輝かせて笑ってみせると「今から潤呼ぶね」と通話を終了させたばかりのケータイのメニューボタンを押した。
だがその手を、急に俊彦が押さえたので驚いて顔を上げると
向こうもとっさの行動だったのか慌ててみせる。
「あ、いや──いいよ、お前だけで」
俊彦の意図するところが分からず、敦子はケータイを手にしたままきょとんとしてしまった。
「じゃあ、サイゼ──ジョナサンの方がいい?──でも行こうか」
「飯島、合格したら言おうって二条西の文化祭の時に決めてた」
「え? 何を?」
「飯島が好きだ」
敦子が予想もしない言葉を俊彦が紡いだものだから
寒さで張っていた頬にヒビでも入るような感覚に襲われた。
手にはケータイがあって、周りには人がいて、円茉莉駅のアナウンスが続いている。
時間が止まってしまった敦子の手を、俊彦は遠慮がちに──だが触れて拒絶がなかったのでぎゅっと掴んだ。
ケータイの硬い感触が手のひらにぎゅっと押しつけられてやっと敦子は現実に帰ってこれた。
「たとえ飯島が黒沢のことを好きでも、俺は君が好きだ」
「ちょ、ちょっと待った。突然何のドッキリ?」


